2010年09月13日

G.ホルスト 組曲「惑星」(テノールホルンで演奏した例)

 組曲「惑星」(1914-1916年)。ホルストはこの大編成のオーケストラにおけるテューバ群に「テナーチューバ(Tenor Tuba)」と「バスチューバ(Bass Tuba)」のパートを設けました。詳しくはこちら

 「Tenor Tuba」といふ樂器は、特注品を除いて存在しないため、ユーフォニアム、ドイツ式バリトン、ヴァークナーテューバなど、色々な樂器で演奏されてゐます。

 テノールホルン(B♭調)で演奏した例です。

 F.ヴェルサー・メスト指揮/ウィーンフィルハーモニー
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 映像:ユニバーサル ミュージック クラシック
 使用樂器:形状からすると Miraphone の Tenorhorn
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 ユーフォニアムで演奏した例はこちら
 
【テノールホルンを使用した例の最新記事】
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R.シュトラウス 交響詩「ドン・キホーテ」(ドイツ式バリトンで演奏した例)

 リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」(1897年)には、「Tenortuba」のパートがあります。詳しくはこちら

 B♭調のヘ音記号といふ、金管低音楽器としては極めて稀な記譜をしてゐることから、R.シュトラウスは、当初ホルン奏者の演奏するテノールヴァークナーテューバを想定してゐたか、當然それが使はれるものと想定してゐたものと思はれます。しかしヴァークナーテューバでは満足な演奏が困難だった爲に、後に、むしろドイツ式バリトンで演奏された方が相應しいといふ意味のことを記してゐます(H.ベルリオーズ/R.シュトラウス校訂「管弦樂法」に記載)。

 ドイツ式バリトンで演奏される例は、ドイツやオーストリア、東欧諸國のオーケストラが多いです。その地では、吹奏樂で普通に使はれる樂器ですが、日本ではユーフォニアムが普及してゐる為に、その形状からテューバを連想し、「あの樂器がテナーチューバなのだ」といふ風に勘違ひするやうになってしまひました。

 H.フォン・カラヤン指揮 ベルリンフィルハーモニー
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 映像:ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
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 上記の樂器は、テューバのやうなストレートベルですが、しばしば卵形のものが使はれます。

 H.フォン・カラヤン指揮 ベルリンフィルハーモニー
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 映像:ユニバーサル ミュージック クラシック
 使用樂器:Weltklang の Bariton
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G.マーラー「交響曲第7番 夜の歌」 テノールホルンで演奏した例

 グスタフ・マーラー作曲の「交響曲第7番 夜の歌」(1905年)には、マンドリン、カウベルなど、通常のオーケストラの編成には含まれてゐない樂器が、重要な役割を担ってゐます。テノールホルン(B♭調 Tenorhorn)もその一つで、冒頭の吼えるやうなソロは有名です。

 マーラーの指定通り、テノールホルンで演奏した例

 L.バーンスタイン指揮/ウィーンフィルハーモニー
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 映像:ユニバーサル ミュージック クラシック
 使用樂器:Weltklang の Tenorhorn
 このDVDはこちらで購入できます:マーラー:交響曲第7番・第8番 [DVD]

 E.インバル指揮/ベルリン放送交響楽団
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 映像:DENON
 使用樂器:形状からしてB&SのTenorhorn

 このテノールホルンよりやや太い、バリトンといふ樂器もこの地の吹奏樂團では使はれてゐて、マーラー7番もバリトンで演奏されることも多いです。また、ユーフォニアムで演奏されることもあります。

 左がバリトン、右がテノールホルン(いづれもアレキサンダー社製)
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 ドイツ式バリトンを使用した例はこちら
 
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2010年09月11日

R.シュトラウス 交響詩「ドン・キホーテ」

 リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」(1897年)には、「Tenortuba」のパートがあります。テナーチューバは、ドン・キホーテの腹心、サンチョ・パンサのキャラクターを、ヴィオラやバス・クラリネットと共に演じる、重要なパートです。

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 Basstuba は通常のとほり、in C のヘ音記号で書かれてゐますが、Tenortuba は in B♭のヘ音記号で書かれてゐます。

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 バスクラリネット共に奏でられる、サンチョ・パンサのとぼけたメロディー

 マーラーの交響曲第7番「夜の歌」には「Tenorhorn」といふパートがありますが、さういふ名稱の樂器が實際に普及してゐたために、マーラーがテノールホルンそのものを意圖してゐたと察することが出來ます。

 一方、R.シュトラウスの「Tenortuba」といふパートは、そのやうな名稱の樂器が普及してゐない爲に、どのやうな樂器を意圖してゐたのかが判りにくいのですが、ここに大きなヒントがあります。それは、ヘ音記号のB♭調といふ、ドイツやオーストリアの金管低音樂器にはあまり例のない、獨特の記譜です。

 このやうな記譜をしてゐる例は、ヴァークナーが「Tuben」として書いたヴァークナーテューバぐらゐではないでせうか。R.シュトラウスは、ヴァークナーテューバを意圖してゐた、または、當然それが用ゐられるものと想定してゐたために、このやうな記譜をしたのではないか、と考へられるのです。

 また、こんなエピソードがあります。1899年(初演の翌年)12月、當時ドレスデン宮廷歌劇場音楽総監督で指揮者だったエルンスト・フォン・シュッフ(Ernst von Schuch)が、この「ドン・キホーテ」のリハーサルをしてゐた所、テナーチューバ担当者が上手く吹けなかった爲に、大變困ってしまったさうです。そこで彼は、この作品の作曲者であるR.シュトラウスに、「テナーチューバは、バリトン(Baryton)用に書き直した」と手紙を送ったとのことです。

 指揮者はなぜわざわざ書き換へたのでせうか。まづ考へられるのは二つです。

・バリトン奏者がB調で書かれた譜面では上手く演奏出來なかったので、譜面をバリトン用に書き換へた。
・ヴァークナーテューバ奏者が上手く演奏出來なかったので、バリトン奏者に演奏して貰ふこととし、譜面をバリトン用に書き換へた。

 ドイツ語による原典を取寄せてゐる最中の爲、詳細は判りません(現時点では、出典不明、または出典間違いの英文のみ)が、さすがに前者のやうな事態は、實際の現場では起こり難いと思ひます。譜面が讀みにくいといふ理由で、指揮者がわざわざバリトンに書き換へてあげるわけがありません。プロ奏者なのですから、讀みづらければ自分で書き直してリハーサルに望むでせう。さうすると、後者の方が合點がいきます。

 さらにR.シュトラウスは、自身の作品におけるテナーチューバについて、1905年の「INSTRUMETATIONSLEHRE(管弦樂法)」にて、興味深いことを書いてゐて、それも重要な判断材料となるのですが、大變に長くなる爲、別項に譲ります。

 現在は、ヴァークナーテューバで演奏することは極めて少なく、ほとんどがテノールホルンやバリトン、ユーフォニアムで演奏されてゐます。

 R.シュトラウスと縁の深いウィーンフィルハーモニーは、時折ヴァークナーテューバで演奏することがありますが、それはR.シュトラウスの最初の意圖を重視したことによるのかも知れません。
 
 ドイツ式バリトンで演奏した例は、こちら
 
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2010年09月05日

G.ホルスト 組曲「惑星」(ユーフォニアムで演奏した例)

 組曲「惑星」(1914-1916年)。ホルストはこの大編成のオーケストラにおけるテューバ群に「テナーチューバ(Tenor Tuba)」と「バスチューバ(Bass Tuba)」のパートを設けました。詳しくはこちら

 「Tenor Tuba」といふ樂器は、特注品を除いて存在しないため、ユーフォニアム、ドイツ式バリトン、ヴァークナーテューバなど、色々な樂器で演奏されてゐます。

 ユーフォニアムで演奏した例です。

 E.オーマンディー指揮 フィラデルフィア管弦楽団
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 映像:ユニバーサル ミュージック クラシック
 使用樂器:YAMAHA YEP-321S

 C.マッケラス指揮 BBC交響楽団
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 映像:youtube
 使用樂器:BESSON 968 SOVEREIGN

 飯盛泰次郎指揮 東京シティフィルハーモニーック管弦楽団
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 映像:youtube
 奏者:小寺香奈
 使用樂器:WILLSON TA2900 BSP/GP

 テノールホルンで演奏した例はこちら 
 
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